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原発災害からちょうど1年と少し経ちました。この間、私も「核実験」を中心に過去の事例を紹介しつついろいろ書いて来ましたが、お伝えしたかったことを一言で言いますと、過去の核災害を知り、今の状況に対処するのに活かしてもらいたい、ということでした。

昨年末のサーメ人の記事では、スウェーデンの事例をご紹介しました。特にチェルノブイリと核実験からの汚染は、旧ソ連だけでなく、ヨーロッパ中を汚染し、食物のセシウム汚染は珍しいものではなかったということは、押さえておくべきでしょう。例えば、デンマークでもこういうグラフがあります。また、これらの対処もされてきていて、スウェーデンでの食品の放射能汚染への対処マニュアルとして、

「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」

が既に出版されています。訳者の高見さんは「正しい知識を得ることで、正しくリスクを判断し、対策を立てるようになることが今一番必要なことだと思います。そして、一番、福島の人びとに伝えたいことは、絶望しないでほしいということです。チェルノブイリ原発事故を体験したスウェーデンの報告書のメッセージははっきりしています。放射能汚染に有効な対策はあるということです。この本が、少しでも福島の人びとに希望を与えることができれば幸いです。」とあとがきに書かれています。正しい知識とリスク判断、そして対策をするための基本となる文献の重要な部分を占めるのが、スウェーデンの報告書、そして次にご紹介するICRP 111に他ならないということは、多くの人にご同意頂けるのではないかと思います。

人類は、核エネルギーを手に入れてから、いろんな失敗を繰り返して来ています。しかし、失敗するだけでなく、その経験から教訓を汲み取ってもきています。それをまとめた文書が、ICRP Publ. 111と言って良いでしょう。防護方策の正当化・最適化、放射線防護の文化、参照レベル、といったキーワードは、そういった教訓の結晶と言っても良いように思います。本ブログの過去記事で何度か触れた、チェルノブイリやマヤーク(テチャ川)のような具体例も、いくつか紹介されています。

日本が不幸にして現存被曝状況となってしまったからには、それを受け止めて対処して行かなくてはなりません。しかし、このICRP 111、なかなか難解です。理由は、言葉遣いが難解だからです。多くの人に、原文を読んできちんと理解することまで求めるのは難しいところです。そのために、噛み砕いた解説が試みられて来ました。その嚆矢はこちらです。


原発事故からの地域復興に向けて
ICRP111のすすめ



このまとめ、最後まで繰って頂くと、一番最後に、私がオチのおいしいとこだけもらって行ってしまっていて恐縮なのですが、上の方の諸賢のご説明が大事なところです。読んで頂ければ、どうしてこの文書が重要なのかがわかると思います。

そしてさらに先月、twitterで、ブタ先生(高井先生:@J_Tphoto)とピンク先生(生徒会長:@buvery)が中心となって、公開勉強会が繰り広げられていました。こちらからたどれるようになっています。twitterしている方はみられていた方も多いと思います。そして更にそれを、朝日出版社 第二編集部さん(@asahipress_2hen)が読みやすくまとめて、冊子とされたものを公開してくださいました。


ICRP111から 考えたこと

Introduction to ICRP Publ. 111
福島で「現存被曝状況」を生きる

(5/1現在、ver.1.2.1)

参考:ver.1.2.1の1頁版,旧版(ver.1.1)





既に多くの方に好評を得ているようですが、twitterを見ない方のために、本ブログでも僭越ながらご推薦させて頂きます。難解だったICRP 111が少しだけ身近に感じられるのではないかと思います。

依然ちまたでは、次のような主張を、よく見かけます。
  1. 一般公衆の被曝線量限度は1mSv/年、と決まっていたから、それを守るべきである。
  2. ICRP 111では、事故が収束した後の「現存被ばく状況」においては、「1〜20mSv/年の下方部分から選定すべき」と書かれてるのに、1mSv/年にしないのはおかしい。
  3. 線量率を測ったら、○○μSv/hだった。24×365をすると、△△mSv/年にもなるから、これは限度を超えている。人の住める状況ではない。
  4. 汚染地で生産された食料は、流通させるべきではない。
このような主張に同意する方に、異なった視点の考え方が提示されていると思います。是非読んで、考えて頂きたいです。放射線防護の影響だけを考えるのではなく、事故の影響を最小限に留めるという観点が必要だということは、以前どなたかが指摘されていた通りです。そのためには、放射線の測定値のみ見ていたのでは、十分ではありません。人間と社会に対する洞察がなければ、社会への影響を最小限に留めることはできません。ICRP 111には、それが込められているように思います。社会が損なわれた時、そこに暮らす人間も無事ではすまないということは、旧ソ連崩壊の混乱を知れば十分でしょう。この社会をどう支えてゆくか、福島県内のみならず、我々のような関西にいるような人にも、関係してくることです。まずは、今回出してくださった「ICRP111から考えたこと」から読んでみられることをお勧め致します。

文中に「連帯」という言葉が使われています。一緒にデモをして何かに反対する活動をするとか、怒りを役所にぶつけるとか、そういった意味のなにかを否定するための活動ではなく、こういった建設的な「連帯」の中にこそ、明るい未来が見えるように思えます。
関係各位のご尽力に敬意を表します。


以下、余談ですが、ICRP111やエートスの文書を中心となってつくった、ジャック・ロシャールさんは、フランス人です。安東さんが「人間をよくみている。理系だけの知見では、ああいうのは書けない。」というようなことを以前おっしゃっていて、ほうなるほどと思いました。フランス人の書いた本で印象に残っているのが、メシアの量子力学の教科書です。各章の始めに、内容を示唆するような、古典からの引用文がついているのです。ああいうスタイル、ごくたまにみますが、教養の深さを感じざるを得ません。どうもフランス人というのは、ある一定方向に秀でていたとしても、古典へのリスペクトを失わない文化の中にあって、それ故に人間への深い理解があるのではないだろうかと思いました。


追記(4/2)
「ICRP111から過去に学ぶ、あらためてチェルノブイリのこと」(ポストさんてんいちいち日記)でも、わかりやすくまとめて紹介されています。
「もう」なのか「やっと」なのか、あの日から1年。本当に多くの人が亡くなり、家を追われ、途方に暮れました。死者・行方不明者の数だけでいうと2万人、阪神大震災の約3倍になります。
身近な人が急に亡くなるということは、これは当事者にとっては容易なことではありません。悲しみ、後悔、などいろいろ言葉はありますけども、そういう言葉が陳腐に感じるくらい、漠然とした重い喪失感があります。

震災とは関係ないのですが、最近、私の友達が病気で亡くなりました。私にとっては、深く付き合った同志でした。2年ほどの闘病生活があり、覚悟はしていましたが、やはり、悲しいというか悔しいというか、そういう感情がなかなか離れません。また、ご家族は尚更だと思います。しかし、いくら悲しくても、私たちは生きている限り前を向いて生きてゆかねばなりません。

「亡くなった方々の分も、毎日を大切に生きてゆこう」(しあわせ運べるように)
この言葉に尽きると思います。「死」はいずれ誰もが通る道であるのですから、それまでの時間を有意義に過ごしたいと思います。

東日本大震災を阪神大震災と比べると、次の3点において違っているといえるでしょう。まず、地震そのものよりもむしろ、津波による被害が主要であったこと。次に、放射性物質が広範囲に撒き散らされたこと、そして、政府や専門家への不信が蔓延したこと。

神戸は「頑張ろうKOBE」でなんとかやってきたわけですが、「頑張ろう東北」がどうももの足りなく感じるのは、この不信が蔓延しているところによるのだと思います。

昨年の漢字が「絆」でしたが、白々しく感じたのは私だけではないはずです。送り火の騒動なんかでボロボロになった信頼関係を糊塗するように、この字を選んだあざとさが見え隠れしたように感じました。
では、不信を解消するには、どうすれば良いでしょうか。市民の側からすれば、まずは放射線とその健康影響について、ある程度勉強することが必要だと思います。このブログの過去記事も、少しでも参考になればと思っていますが、他にも教材はweb上にだいたい揃っています。最近の私のお勧めは「ポストさんてんいちいち日記」です。多くのサイトから、有用な情報を集められています。

汚染地での復興のために、まず必要なことは専門家への信頼の回復です(こちらにも示されています)。そのために、科学者同士の対話も必要だと思います。特に、一方的に批判を展開してきた科学者は、放射線防護や放射線医学の先生方と直接対話する機会をもってもらいたいです。不信が蔓延していては、誰も得をしません。

震災後すぐに比べて、いまは必要な情報は探せば得られる状況になっているので、もう私なんかが目立つべきで段階ではありません。もっと社会的地位の高い先生方に、積極的に発言していってもらいたいと思っています。まだ、山下氏・中川氏・長瀧氏・丹羽氏のような目立つ人だけが叩かれている状況です。批判は結構なことですが、それをするなら、本人のいるところで行って、堂々と討論してほしいです。また、山下氏をはじめいろんな形で批判を浴びている発言がありますが、それがされた背景も理解する必要があるように思います。例えば、中西準子さんの「山下俊一さんのインタビュー記事を読んで -私は誤解していたかもしれない-」という記事は読んでおいてもらいたいです。

不信だけが蔓延しているために、本来割かれるべきでないことにエネルギーが費やされてはいないでしょうか。罵りあいや陰口よりも大事なことがあるのではないでしょうか。汚染地の市民が安全に暮らしていけるように、具体的に活動されている方々を私は応援したいです。

3月11日から1年です。何か役に立ちそうな情報があれば、今後もブログ更新しますが、だいぶなくなってきました。ETHOSの皆さんの活動や、情報の推移を見守りつつ、私も通常営業に戻って行きたいと思います。

これから、明るい復興の話題が聞けるように願っています。
今回はやっつけエントリです。(少しマシにしました(1/4)) 本当は、もっときちんと資料を読み込んで整理して書きたいのですが、やらなきゃならない仕事をたくさん放置したままですので、簡単な紹介だけに留めます。どなたか、このあたりの資料を参考に、一般の方にもわかりやすくご紹介頂けたらありがたいです。

サーメ人がどうして注目されているかというと、ノバヤゼムリャで核実験のあった1950~60年代と、チェルノブイリ後の1986年~に、トナカイの肉を経由して、セシウムの内部被曝を受けているからです(核実験とチェルノブイリで、どれだけの放射性物質ができたのかは、11/26の記事にまとめてあります)。サーメ人の住んでいる地域は、ノバヤゼムリャとチェルノブイリそれぞれから1000kmと少しの位置にあり、遠すぎず近すぎずのところにあります。それで、低線量リスク管理WGの報告にも引用されてたところ、昨晩のNHKの番組にトンデル氏の主張とともに紹介されて、一気に広がったわけです。トンデル論文と、その独自解釈による引用には、buvery氏の記事(NHKの番組の批判も書かれています)、粂和彦氏の記事に批判があり、web上では結構有名です。しかし、NHKの番組は、トンデル氏の主張を特に検証もなく流したようで、それっていいのかなー(?ω?)、という感じです。
また、「パストゥール通信2012年新春号」の藤田晢也氏の記事にもトンデル論文について解説(p.6-7あたり)があります。
肯定的な解説としてはこちらの今中哲二氏の記事を、統計の問題としての考察はこちらの奥村晴彦氏の記事をご参照ください。



さて、サーメ人ってどういう人たちか。Wikipediaは次のようになっています。サーミ人Sami_people(英語)Samer(瑞語)。日本語で、サーメかサーミかで表記が分かれているのは、英語でSami、スウェーデン語でSamerと表記が違うからのようです。彼ら自身、Websiteをもっています。表記はSamerとなってるので、サーメ人と呼んでおきたいと思います。歴史的な視点からの紹介はこちらと、こちらも。ナショナルジオグラフィックの11月号にも記事がありました。これは、買っちゃいました。トナカイ遊牧とか、サーメの文化とても素敵です。憧れます。ニングルが出てきそうな雰囲気・・・。

サーメ人をはじめスウェーデンの人たちがどれだけの内部被曝を受けていたかですが、スウェーデン在住の方のこちらの記事に詳しく紹介されています(今回のNHKの番組についてもコメントを書いておられます)。この記事は初めにお読みになっておいて頂きたいところです。引用されてる図の出典は、スウェーデン語ですがこちらこちらにあり、Google翻訳先生を使えば、気合で読めます!。(私は時間がないのでしてないですが(^_^;))。URLを投げ込むと、小さなファイルなら、中身翻訳してくれます。無理ならコピペで。直接日本語にすると、飛んでる内容になるので、英語にしてから読むのがお勧めです。
また、これも瑞語ですがこちらにもまとめられていますし、英語ではC.L. Rääf et al. (2006)という論文があります。


SamiCs.png
いくつかの異なった集団での体内セシウム量
(SSI "Tio år efter kärn krafto-lyckan i Tjernobyl"(1996)より)


SamiCs2.png
いくつかの異なった集団での体内セシウム量
(SSI ”Tjernobyl 20 år"(2006)より。以下の二図も同じ。)

dose.png
汚染食糧のCs-137, Cs-134による1986年から50年間の平均の実効線量



上図の説明にあたる部分のGoogle翻訳(スウェーデン語→英語)
Based on the measurements made are calculated reindeer herders in Västerbotten County, on average, obtain 50 years of accumulated dose of 11 mSv due to food intake of Cs-137. The corresponding dose contribution from Cs-134 is estimated to 2.2 mSv (Figure 2). Other groups are expected to have higher radiation doses are hunters in the most affected areas (Gävle), 3.1 mSv and reindeer herders in Norrbotten County with about 2.3 mSv. Farmers in Gävle is expected to receive the corresponding dose contribution of 1.6 mSv. A tätortsbo in Sweden is estimated to average receive 0.15 mSv. All of these doses of radiation refers to the total dose over 50 years after the accident. A slight tendency for differences between urban population in Skåne and Stockholm inferred from the results of measurements where the southern Swedish population groups is slightly lower in the cumulative effective dose compared with that of the inhabitants in the Stockholm area. This difference may be due to a lower proportion of food consumption of wild game and forest products from the affected counties in southern Sweden than those living in central Sweden.

当該記事の結論部分Google翻訳(スウェーデン語→英語)
To put the figures into perspective, it should be mentioned that the average Swede receives an annual effective dose of about 4 mSv, ie over a fifty-year period about 200 mSv. This radiation comes from a range of sources such as natural background radiation, radon in houses, and medical examinations. The variation between individuals is large: some may be lower and some higher radiation dose. This variation, combined with the average of low radiation doses from radioactive cesium in the food, makes it unlikely that it ever becomes possible to observe an increase in cancer rates that can be related to the Chernobyl accident.


tonakai.png
チェルノブイリの放射性降下から20年の南部ベステルボッテンでのトナカイのCs-137
こちらによれば1,500Bq/kgは引き上げ後の規制値で、最初は300Bq/kgであった。






さて、福島県民のホールボディカウンタによる検査結果は7月のものですが、こちらにあります。また、こちらには過去の日本で体内Cs-137の値があります。また、こちらの図ではCs-137の1日あたりの摂取量(Bq/kg)が比較されています。単位と核種に注意して、比較できると思います。


で、気になるのは、これだけ内部被曝を受けて、サーメ人の健康にどれだけ影響があったのかということです。
これは、次の論文で議論されています。
S.Hassler et al.(2008), Cancer among the Sami – A review on the Norwegian, Swedish and Finnish Sami populations.
P. Sjölander (2011),What is known about the health and living conditions of the indigenous people of northern Scandinavia, the Sami? .
L. Soininen et al. (2002), Cancer incidence among Sami in Northern Finland, 1979–1998.



SamiIncidence.png
S.Hassler et al.(2008)にある図です。



S.Hassler et al.(2008)より
There are two major sources of radioactive contamination of the Sami living areas: the nuclear weapons tests in Novaya Zemlya in the 1950s and 1960s and the Chernobyl nuclear reactor accident in 1986. As the Sami represent the end of the food chain (lichen-reindeer-human), particular attention has been given to studying their risk of exposure to radiation and radioactive-sensitive cancers such as leukaemia and cancer of the thyroid, bone and breast. However, no enhanced risks for radiation-related cancers have been observed among the Sami (2-5,7). These findings are in concordance with the estimates made from whole body measurements in the northern region. Although estimates based on whole body measurements on reindeer herders in Finland indicate higher doses of radiation among reindeer herders, it was concluded that the statistical effect of radioactivity increasing the risk of cancer is negligible (35).


L. Soininen et al. (2002)より
The nuclear explosions, which were carried out in the atmosphere especially before 1962, produced a worldwide radioactive fallout.32 The nuclear weapons tests in Novaja Zemlja in the 1950s and 1960s have caused special concern in Lapland. Caesium-137 (137Cs) is one of the long-living fission products of this fallout. 137Cs is particularly enriched by food chains in regions where the soil and surface waters are deficient in potassium, as in arctic latitudes around the globe. The Sami are at the end of the foodchain 137Cs fallout-lichen-reindeer-human and have about a 50-fold internal dose of 137Cs compared to southern Finns.32 Still their SIR for leukaemia and other radiation-related cancers (breast,thyroid, bone) were below unity. Similar findings have been made in other arctic native populations.10,25 It is believed that the human body can adapt to a low-radiation dose, provided that its genetic and dietary condition is satisfactory.33

S.Hassler et al.(2008)とL. Soininen et al. (2002)から、放射能に言及している部分を抜き出してみました。
P. Sjölander (2011)は、放射能関係については、この2つの論文を引いて紹介しているだけですが、出版されたのも2011年10月と新しく、食や生活様式などの面からサーメ人の健康問題を広く紹介しています。



その他、Effects of the Chernobyl Disaster on Sámi Lifeというこちらの記事(日本語訳はこちら、トナカイ肉の基準値の変遷についての話があります)や、こちらの記事も参考になります。ATOMICAの記事でもスウェーデンでのグラフが参照されています。
このあたりの文献を参考にして、昨日のNHKの番組をもう少し慎重に考えてみる必要があるように思います。

最後に、スウェーデンの人たちが、チェルノブイリからの食品汚染に際してどのような対策をしてきたのかについて。先ほどのスウェーデン在住の方のこちらの記事に紹介されている小冊子(こちら)なのですが、2ヶ月ほど前に、日本語訳がなんとかならないかとtwitterの皆さんの間で議論になっていて、少しだけ私も絡みました。で、結局私は何の役にも立たなかったわけですがw、予想外の形で世に送り出して頂けることになりました。
なんと明日(12/30)発売になります!!!ワ━━━━━━ヽ(´∀`*)ノ ━━━━━━!!!!

高見 幸子 (著, 翻訳), 佐藤 吉宗 (翻訳),「実践マニュアル スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」
 
チェルノブイリの影響というと、ベラルーシやウクライナの情報が多いわけですけども、ソ連崩壊と重なってさまざまな社会的な要因による健康リスクも上がりました。そういった放射線以外の影響が小さいという意味、それから50年前の核実験からも少なくない量の被曝を受けている(晩発影響があるなら出ている頃)という意味では、スウェーデンでの事例は、大いに参考になると思います。

というわけで、手持ちの文献等のリンクを貼りましたので、うまく内容を噛み砕いてご紹介できなくて申し訳ないですが、直接あたって頂ければ幸いです。

追記(12/30)
論文の本文の引用を加えました。また、外部リンクも追加しました。今後も気づいたとこは適宜直していきます。

追記(1/11)
リーフレインさんによる考察「サーミ人の癌の不思議」ご一読を。

追記(4/1)
ハーバード・トーリング氏のスライド「サーミの人々の全身計測と健康」(@kazuho14さん訳)ご参照ください。
ETHOSのページに関連資料があり、講演動画もリンクされています。(5/1:追補)

本文中で紹介しました、S. Hassler et al.(2008)についても、次のように紹介されています:
文献総説 (1966-2008)で、北欧諸国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)でのがん発生率・がん死亡率についての9つの信頼に足る論文(うち2つはノルウェーから)が取り上げられた(Hassler et al. 2008)。

主な結論:
  • サーミ人のがん発生リスクおよびがん死リスクは、公衆全体および同地域の非サーミ人と比較して低い
  • 遺伝的要因によって、このサーミ人の低いガンリスクが部分的に説明出来るかもしれない。さらにサーミ人のライフスタイルには食材や運動といった低ガン因子があり、これでおそらく低いがんリスクの説明がつく。
  • 放射線関連がん(白血病、甲状腺がん、骨がん、乳がん)の過剰リスクは認められない。


追記(4/2)
3/30の記事でご紹介しました「ICRP111から 考えたこと 福島で「現存被曝状況」を生きる」のp.197〜202で、ノルウェーのサーミについて触れられています。

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